・・・・・・・・・38歳にもなって号泣した。
それなりに人生生きてきて、酸いも甘いも知っているつもりだったのに。いろいろ経験したから、ちょっとやそっとのことでは動じないと思っていたのに。
・・・いや、だからこそかもしれない。
写真の映画は「恋空」という。ついこの間まで映画館で上映されていて、今はTUTAYAでレンタルもされている。
もともとは携帯小説だったらしいが、なんと1200万人もの人がこの物語に夢中になり、涙したというから驚きである。(まあ、私も晴れてその仲間入りをしたのだが・・・)
物語は主人公の女性(ガッキー)の高校1年の夏の恋から始まる。正直見始めて半分くらいは、「ああ、よくある恋の話に不幸なことが重なる主人公ね・・・・・・。」的な感想しかなかった。私もこの年になればいろいろな不幸は見てきたし、体験もしてきたからだ。(さらに言ってしまえば、映画を酷評しているブログや評論家達の言葉を聞いていたからである。)
しかし・・・・・・しかしである。
物語は中盤から終盤にかけて、一気に見ている者を引き込んでいく。いや、ストーリーだけではない。主人公とそれをとりまく人々の、台詞一言一言に心をわしづかみにされていくのだ。
見始めは「ああ・・・・ここまでいろいろ重なると演じてる人も嫌になるだろうなー。」とか、「展開が読めるよなー。過去にもこんな感じのドラマあったなー。」などといっていたが、中盤では「・・・・・・・ぉぃぉぃ・・・・まじですかい?」になり、物語も終盤にさしかかると「ちょ・・・・・これ何とかしてあげられないのかよ。ひどすぎるだろ・・・。」と変化し、ミスチルの唄が流れ、字幕がスクロールする頃には顔をぐしゃぐしゃにしながら、号泣しているのである(笑)。
・・・・・・・・・・・・・・・・・。
お恥ずかしい話だが、本当の話なのだ。
恥ずかしいので、一応自分なりになぜ泣けてしまうのかを分析してみた。多分、主人公たちのひたむきな「愛」(物語では「恋」となっていたが・・)に心を打たれるのだ。
私にも高校生のときはあった。思い出せば甘酸っぱい恋話くらいある。当時は単純に好きな人のことだけ考えて、単純に好きな人の笑顔を見ることに力を使い切っていた気がする。(心配事は成績のことと部活くらいかな・・)
だが、いつの間にか恋だの愛だのに費やしていた頭を、仕事や社会に対する責任、自分自身のために使う時間に費やしてしまっている。・・・・・いつからこうなってしまったのか・・・・・・。
この映画に出てくる二人は、私が忘れていた感情を思い出させてくれた。いや、本来人間が持っている感情(本能か?)を呼び覚ましてくれたのかもしれない。
ああ・・・・・・もしかしたら私が涙を流したのは、そんな本能を忘れてしまっていた自分に気付いてしまったからかもしれないな。
・・・・・無条件に他人を思いやる。・・・・・愛する。という本能。
不思議と見てから何日も経つのに、見終わったときと変わらず心は晴れやかで温かいもので満たされているような気がする。(この38歳にもなる男の心が・・・・・である。)
だからこの映画はみんなに見て欲しいと思う。
特に仕事に追われ、生活に追われ、自分に余裕がない人には絶対に見て欲しい。私でも心が洗われいろいろと考えているくらいなのだ。きっと見る人が見れば人生そのものも変えることができるかもしれない。
・・・・・・・帰りにTUTAYAでガッキーのCD(挿入歌)でも買ってこっと・・・。
フランスの大統領が他国の首相をもてなした一つの例として、ミッテラン大統領とブッシュ(お父さん)大統領の晩餐会の話を調べたばかりだったが、また面白い話を別のお客様から偶然聞くこととなった。
そのお客様は、常連のk様に連れられていらっしゃった。
初めての割には落ち着いてカウンターに座られている。ワインについて質問されるときの内容が飲みなれた方のものだ。テイスティングが尋常じゃないくらいスムース。
・・・・・・このお客様できるな・・・・。
おそらくバーテンダーも私のような嗅覚は皆持っていると思うが、面白いものでカウンター越しのお客様と従業員の間には目に見えない攻防戦が展開されている。お客様はいかにカウンターの中の人間に自分を特別視させるかを考えているし(別に何かをサービスしてもらおうというわけではない。)、中の人間はお客様の力量を見極め、どのような対応をすべきかを常に模索している。
・・・・つまり、お互い「なめられてたまるか!!」的な気持ちが働いているのだ(笑)。もちろん顔には一切出さないし、常に会話やしぐさは紳士的だが・・・・。
そしてお互いの力量がわかってくると、お互いに落としどころを見つけ、落ち着いて話が出来るようになるわけだが、このお客様はそのアピールが実にスマートだった。
そんなお客様が突然、「マスター、フランス人はワインで外交するんだよね?」
「マジか?・・・・・てか、ブログ見たんだろうか・・・?」
「そうですよ。当時フランスのミッテラン大統領は・・・・・・」と前回調べたばかりのことをつらつらとお伝えしたら、「へー、その話は聞いたことないな。勉強になったよ。ちなみに僕が知ってるのは・・・・・・・」と別のエピソードを語り始めた。
「ランシュバージュ」というワインがあるが、以前イギリスのエリザベス女王が来仏した際には、メインディッシュに合わせて振舞われたという。ちなみにワインの格付けだけ見ると、メドックの1級のラトゥールなどに比べると、5級だしかなり見劣りをするイメージである。
しかし、「ランシュ」・・・「ランチャ」とは、イングランドからのフランスへの移民で、その開拓者たちの総称なのだという。フランス人たちは彼らを敬意を表してランチャと呼ぶらしい。
ほー敬意を表して・・・・それこそ知らなかった。勉強になりました。
しかしいろんな逸話があるな~。フランスの大統領は本当にワインと食事で外交をしているんだとつくづく思った。これ全部知る度に揃えてたら、先にお店が破綻するな・・・・・。
かっこいい話は話だけにしておいたほうがよさそうだと思った夜になった。
ちなみに・・・・・・・。
先日のお世話になったお客様に送るワインはシュヴァルブランとなり、喜んでいただけそうだ。めでたしめでたし。
ときにワインは映画の中でなくてはならない重要な役割を持つときがある。また、細部にまでこだわり作りこまれた映画に登場するワインには、それなりに登場する意味があることをご存知だろうか・・・。
「プリティ・ウーマン」といえば、誰もがモエシャン(シャンパーニュ)と苺だし、007の飲むシャンパンはいつでも「ボランジェ」である。
また、映画の中では有名弁護士の家のテーブルには無造作に「シャトー・オーブリオン」が乗ってたり、イタリアンレストランの設定ではきちんとネックにピンクの帯のついてあるものを目立つように使っている。(イタリアの格付けワインという意味)
まあ、失楽園の最後の食事で飲むワインが「シャトー・マルゴー」だということは意味不明だけど・・・・それは置いといて・・・・。
また機会があれば、一つ一つひとり言で述べたいと思うが、今回はワインを見つけたときに「おおおおおおおおおおおおおお!!!」と驚愕の声をあげてしまうこと享けあいの映画の紹介である。
それが、写真の映画「スモーク」だ。
この映画は、ニューヨークの下町ブルックリンの、とある街角にあるタバコ屋をとりまく人々のドラマである。ドラマは全部で4個か5個の話に分かれているが、最後の話で全てがつながるようになっていたと思う。・・・・・・ドラクエ4みたい・・・・・。
ちなみに問題のワインは最後の話の中で出てくるのだが、主人公がふとしたきっかけで、クリスマスイブに、あるおばあさんの家におじゃますることとなる。そこでその主人公とおばあさんが飲むワインがそれだ。
おそらく時間にしたら1秒から2秒・・・・・ないと思う。そんな短い時間に写されるワインにまでこだわって、しかもそれが「おおおおおお・・・・・・なるほどね」なのである。私は正直鳥肌がたった。
もちろんストーリーもいい話。
凶悪事件ばっかりの今日この頃、人と人とのつながりや思いやり、人への愛情など・・・・・誰もが忘れそうになってることをふと思い出させてくれる。・・・・そんなあったかいお話だった。
ワインを見つけるだけじゃなく、映画そのものも楽しんでもらえれば幸いである。
ちょうど1年前の夏に、近所のイタリアンに食事に行ったときのことである。
何の気なしに頼んだカプレーゼ(トマトとモッツァレラのサラダ)にびっくりさせられた。妙にトマトの味が濃いのである。甘味も強く、香りも子どもの頃に食べた懐かしいトマトの青臭い香りだった。
「ん・・・・・?なんじゃこりゃ。」
実はお客様に連れて行ってもらっていたのだが、そんな私の姿を見たそのお客様はニヤリと笑いながら、「オイシイネ!!」(彼はカナダ人)
聞けばシェフの弟さんが畑を趣味でやっていて、野菜を持ってきてくれるとのこと。他にもズッキーニやマッシュルーム、アスパラガスなどなど・・・。もはや趣味の域をこえてるんじゃ・・・・と思うくらいの野菜のオンパレードに、連れてきてくれたお客様も自慢げだ。
「ほー、こりゃ美味い。うちでも自家農園始めるしかないな。」
昔とった杵柄という言葉があるが、私は大学は農学部だった。・・・・・ただし動物専修だが。でも畑での農作業は研修でやっていたし、何年か前も家庭菜園でトマトかなんか作ったな・・・・。とかなり前向きな(前のめりとも言う)判断で、即決したのが写真の畑。その名も有機農園「コウノトリ」である。
大きさは16平米なので、5坪ほどだろうか。けっこう多くの野菜たちを植えることが出来た。トマトは4種類・きゅうりは3種類・ナスは2種類・パプリカは4種類、その他ズッキーニに万願寺とうがらしにスナップエンドウなどなど・・・・・。ゴールデンウィーク明けに始めて、現在まできゅうりを2本程収穫した。
有機栽培のきゅうりのお味は・・・・
おおおぉぉ。美味い。
瑞々しいのに味が濃い。歯ごたえがあってイボイボも痛いくらいとんがってる。早くお客様に出したいな~。多分びっくりするだろうな。いや、もしかしたら感動して涙を流す人がいるかもしれないぞ。(親心というのは何に対しても大げさに働くものである。)
その日の夜のお客様がメニューから「バーニャカウダ」を選ぶことを期待していたら・・・、いきなり注文をいただき、シェフのもとへ。「よっしゃ、例のきゅうり、たのむぜ!」「ラジャー!」お客様にバーニャカウダを運びながらドキドキ・・・・。お客様がきゅうりを食べるのを見てドキドキ・・・。
果たしてその反応は・・・・
「ん~・・・・・普通に美味しい・・・・よ。」
あの、有機栽培なんスけど・・・。自家栽培なんスけど・・・・。私の落胆した顔を怪訝そうに見つめるカップル。一応きゅうりのことをお伝えしたら、ああ・・・と納得されて、「違うと思った」とフォローの言葉まで・・・・。
ありがとうございます。
まあ、きゅうりだけでは・・・・・。そろそろズッキーニとトマトが実をつけはじめたので、今度の収穫の時には必ず感嘆の声をあげてもらえるに違いない。・・・と信じて、今日も畑へ。